チャンネルデバイダーの製作 15 miniSHARC出力の分配
前回、出力基板をチャンネル数分製作してからだいぶ時間がたってしまったけど、先週ようやくminiSHARCの出力をそれぞれのDACへ分配する作業をした。
ただ、この分配は取り掛かる前はもっと簡単に考えていたけど実際には予想に反して苦戦した。
まずはじめに分配用のコネクター基板を造った。
一番右の列へminiSHARCの出力を繋いで、左側のコネクターから3つのDACへ分配するだけのもの。
I2Sを5pのコネクター3本で3分配するつもりだった。
ところが実際にこれで分配してみるとDACは全然ロックしなかった。
2分配なら辛うじて極短時間ロックすることもあったけど、クロックをオシロで見ているとコネクターのケーブルを少し触るだけでもクロックは大きく乱れ、これではロックするわけないと諦めた。
miniSHARCの出力はそのままでは分配困難と考えて出力を安定させるためにこのようなバッファ基板を造って出力アップを図ることにした。
内容はバッファIC(TC74HC125AP)とダンピング抵抗のみ。
クロック3種とDATA3本を全部バッファ通すつもりで8入出力とした。
バッファを通すことで最初よりは安定したもののまだ完全に安定ではなくてあれこれと思いつくままに試してみるといくつか不安定になる要因がわかってきた。
一つはクロックのラインの浮遊容量に結構敏感なようで、ケーブルに使っている5Pコネクタの場合、5本のケーブルが並行に走って一定幅の空間が長く続いてしまうためその浮遊容量の影響を受け易くなっているようだった。
もうひとつはGND。
このときまでDAC・miniSHARC・バッファ基板はそれぞれ個別の電源から取っていた。それぞれの基板間のGNDは接続していたものの動作時には微妙なGND差異が起きる可能性はあった。
それぞれの基板のGNDの取り方や電源の取り方をを変えてみると安定性に違いが出るので、GNDの微妙な差が影響しているかもしくはGNDループが起きているかどちらかと考えた。
結局、今回とった対策をまとめてみると
・miniSHARCからの出力のうちクロックはバッファを通してから分配した。(DATAは通していない)
・コネクタケーブルは全て1Pで作り直して個別結線とした。(最終的には編み込みやシールドなども検討)
・電源は全ての基板へ同一電源から供給することにした。
これでようやく安定動作するようになった。
バッファについては結局クロックだけとしたため、不要になったICは外した。
電源は同一電源から分配
故に以前アップしたトランスから各DACとminiSHARCへ分けて供給する電源は返って良くない結果を生む可能性が高いので、電源については要再検討となってしまった。
全基板動作時の電流は540mAとなった。
オシロで安定していることを確認したので、実際に音出しして再生状態を確認。
確認用のシステムはアンバランス2チャンネルの再生環境しかないので3番コールドはGNDへ落とした上で、DACまでは全チャンネルを動作させながら出力基板からアンプへは2チャンネルずつ順次繋ぎ変えて再生した。
トランス出力なのでアンプを繋がない出力は負荷インピーダンスが低すぎるため、空き端子には仮想負荷として100KΩを繋いで再生。
今回、I2Sを3分配引廻ししたことで2chならあっさりやり過ごしてしまうようなI2Sのデリケートさを身をもって体感することとなった。
それにしてもminiSHARCは結構使ってる人も多そうなのにこういった事があまり話題にもなっていないのは皆スキルが高いのかな。
それとも入り口から出口までminiDSP社のキットを使っていれば問題もあまり起こらないだろうから、単体使用の人は意外と少ないということのなのかな。
なにはともあれ、これで取り敢えず一通りチャンネルデバイダーとしての流れができたので、今後の作業としては電源の再検討と、ジッター対策をなにかするかどうか あたりを決めて全体の規模をFIXしてから筐体を検討していこうと思う。